先日、「にこさうんど」が突然閉鎖されましたが、よく考えると、実はこれはかなり深刻な問題だと思ったので書いてみました。
そもそも「にこさうんど」とは大手動画サイトニコニコ動画から特定の動画の音声をmp3形式でダウンロードできるというもので、ニコニコ動画とは直接関係なく、個人が広告収入目当てではじめたサービスでした。
にこさうんどの発展によってユーザーはニコニコ動画のアカウントがなくとも無料で音声を手軽に手に入れられるようになったので特に中学生・高校生を中心に爆発的に流行しました。
そして、その影響でより多くの人が気軽に音楽に触れることができるようになったので「ボーカロイド」や「東方」や「歌ってみた・踊ってみた」などの二次創作を中心とする近年のオタク文化を大いに成長させる要因の一つになったと思います。
しかし、一方でニコニコ動画本体に投稿されていた著作権に触れるいわゆる「違法動画」のダウンロードの温床となったため、先日いろいろな方面からの圧力に屈し、とうとう閉鎖してしまいました。
これは違法行為を助けるサイトを排除したと言えば聞こえはいいですが、ボカロや東方といった合法的な二次創作によって発展していった音楽ジャンルには多大なるダメージを与え、今後の発展も減退させるものであると言えます。
特に、ボーカロイドというジャンルは「みんなで作り、みんなで盛り上げていく」ということをコンセプトに成長していった全員参加型のコンテンツで、参加者一人一人の影響力は微々たるものですが、作品を無料かつ合法的に共有し、さらに進化させていくスタイルで伸びていきました。
また、作品は口コミやSNSによる宣伝が主でダウンロードとコピーを繰り返すことで有名になってきました。つまり、ボカロ文化は参加者全員で 制作→共有→宣伝 の好循環をたどって発展したといえます。
しかし、今回の閉鎖はその流れを断ち切るもので、長期的な視点から考えるとボカロ文化やニコニコ動画、さらには音楽業界を大きく衰退させる可能性がある愚行であったともいえるでしょう。
「たかがボカロ」と馬鹿にするのも結構ですが、今やボカロ文化は大きな経済的な影響力を持っています。つまり、曲自体は無料で利益を生まなくとも、関連した二次創作、同人業界、グッズ業界、「雪ミク」のようにボカロとコラボして「まちおこし」をしている市町村、メディア、ボランティア関連事業への採用、海外へのポップカルチャーの輸出、といった様々な方面に「音」を下ろし、影響を与えています。
それでもなお、一部の違法動画の根絶のために多くを犠牲にし、時代に逆行し続けていく「著作権団体」の行いが果たして正解なのか、非常に疑問です。
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