ハンス・ロスリングの「FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」という本が印象的だったので、概要や感想をまとめてみました。
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【本書について】
この本は、Tedトークの人気スピーカーであり、医師、そしてスウェーデンの大学で公衆衛生学の講師でもあるハンス・ロスリング氏の遺作です。
末期の膵臓癌の中、「人々がもつ世界に対する認知の歪みや、知識不足を解消すること」と「認知の歪みを生み出す原因となる、人間が持つ10の本能について知り、人々が正しく世の中を捉えること」を訴えるために、死の直前まで本書を書き続けました。
【世界の現状について】
まず、一般に人々は世界の現状を正しく理解していません。著者は、世界の現状についての講義を一般の学生から政治家やCEOまで幅広く行ってきたが、みんな世界を実際よりずっと悪い状態にあると認識していました。
世界の平均寿命や、女子の教育についてなどのクイズを出しても、正答率は3分の1以下と低かったです。
(世界の国の中で、位置する国が多いのは実は低所得国ではなく、中所得国であったり、世界全体の平均寿命は60才を超えていたり、発展途上国で初等教育を受けることができる女子の割合も60%と、実際は、皆が予想するよりもずっと高いです。)
【なぜ正しく世界を見ることができないのか?認知の歪みの原因となる10の本能について】
人間には、陥りやすい下記の10の心理状態があります。
①分断本能
②ネガティブ本能
③直線本能
④恐怖本能
⑤過大視本能
⑥パターン化本能
⑦宿命本能
⑧単純化本能
⑨犯人探し本能
⑩焦り本能
これらは、もはや人の本能と言っても過言ではなく、こういった「本能」は、「生存のための知恵」とも言えるのですが、過度に左右されてしまうと、現実が見えなくなります。
物事の実態を正しく捉えられなければ、適切な解決策を得ることはできません。
今、インターネットが普及し、手軽に情報を得ることができるようになったことにより、手にした情報が正しいかなど、情報リテラシーの重要性が叫ばれていますが、情報だけではなく、情報を受け取る側の自分に、問題はないかを考えることが重要です。
未知の情報や問題に直面するとき、10の思い込みにとらわれてはいないでしょうか。
データを基に、世界や未来について日々正しく考える訓練が効果的です。思い込みではなく、事実をもとに行動すれば、人類はもっと前に進めるはずだと筆者は述べています。
【感想】
この本からは、既存の常識と思われていることの多くは、実は古いデータに基づく誤解なので、世界の問題に対しては悲観的にならずに、正しい現状認識で冷静に問題を解決していくべき、ということがわかりました。
また、全体的にアドラー心理学に近いポジティブシンキングも感じられる内容で、楽観的な考え方を勉強したい人にも参考になるかもしれないと思いました。
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