2019-09-25

【映画レビュー】万引き家族(是枝裕和監督)感想と考察【日本映画】




先日見た「万引き家族」という映画が非常に興味深かったのでレビューしてみました

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作品のタイトルから「貧困」をテーマに描いた映画の様に思えますが、意外にも作中での万引きの描写はあまりなく、かといって特に分かりやすいオチもなく、ただ、祖母の年金と日雇いの給料で賄えない分を、万引きを行うことで生計を立てている家族のくらしが淡々と描かれているだけの話でした。

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この映画を実際に鑑賞してみて、自分とは全く別の世界で生きる人たちの話だったのに、なぜか今も心に刺さった何かが抜けないでいます。血縁関係のない他人が共に支え合って生活する姿は、家族本来の助け合いの姿に通じるからかもしれません。

実際に、家族という概念は案外曖昧なもので、家族という集団の意義や目的をどう定義するべきか考えさせられる作品でした。この映画を見た後では、家族とは「生存という同一目的のために、仲間内での損益を無視して一致団結して生活する社会集団」という風にも解釈できました。

実際に歴史上、あるいは文学作品の中には、全く血縁関係のない軍隊などにおいても家族を自称したり疑似家族的な発言がしばしば見受けられることから、案外家族という存在は多種多様なあり方があるものであるようにも感じられます。

貧困?家族の形とは?など、どのような観点からこの映画を見るかは人によって異なると思います。(だからこそ、評価が分かれるのだと思います。)

ただ個人的には、この映画の監督の過去作品には「誰も知らない」や「そして父になる」といった作品があり、その点も踏まえて考察すると、この映画もやはり「家族」に対する考え方について強いメッセージ性を与える作品であるようにも思われます。

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そんな訳で、社会や家族に対する価値観を揺らがせてくれる、観るべき作品だと思うので、是枝裕和監督の過去作品も含めてぜひご家庭で鑑賞してみてください!

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